長野県しろあり防除協会講習会に講師として呼ばれました

長野県しろあり防除協会講習会に講師として呼ばれました

お知らせ

2024/12/14

「DX化」の必要性には重々理解しつつ、実際には「業務が忙しくて手をつけられない」「慣れたやり方を変えたくない」「人的リソースが不足している」といった理由で一歩踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

2024年12月13日、長野県しろあり防除協会様の第3回講習会に講師としてお招きいただき、PCO業務のDX化についてお話しする機会をいただきました。本ブログでは、その講習会の内容を振り返りながら、PCO業務の効率化と未来の方向性についてまとめています。

講習会に至るまでの経緯

今回の講習会での登壇は、長野県しろあり防除協会の理事および会長からのご依頼がきっかけでした。「PCO業務に特化したアプリを開発したなら、ぜひ勉強会でその内容を話してほしい」とのお声がけをいただき、私たちのスタートアップとしての取り組みをご紹介する場となりました。

アプリの開発においては、機能の充実だけでなく「どんな人間が開発しているのか」「信頼できるパートナーとして基幹システムの開発を任せられるのか」を示すことが重要です。そのため、現場の施工会社の皆様と直接交流し、リアルな課題やボトルネックを伺えるこの機会は、私たちにとっても貴重なものでした。

講習会でお話しした内容

今回の講習では1時間をいただき、以下のテーマでお話ししました。

結論

近い将来、PCO業務はコンピューターに任せられる部分を最大限活用し、人間の役割を「駆除・管理業務」から「戦略的なコンサルティング・監査業務」へとシフトしていく必要があります。

この変化に適応するには、業務プロセス全体を見直し、DXを推進することが急務です。


結論に至る背景4つ

1. 現場の声:施工管理会社の課題

施工管理会社の方々からヒアリングした結果、以下のような課題が浮かび上がりました。

  • 施工間の待機時間が長い
  • 残業を減らす指示があるものの、対応しきれない
  • 施工後に営業所へ戻って報告書や見積書を作成
  • 顧客や施工データが会社PCからしかアクセスできない
  • スケジュール管理が紙やGoogleカレンダーで行われており、抜け漏れが発生しやすい

特に「残業時間を減らす」という指示は、個人の努力だけでは限界があり、IT導入が必要なフェーズにきています。業務の効率化にはDXの推進が欠かせません。


2. 工場におけるPCO業務の高度化要求

近年、食品工場や医薬品工場での異物混入事件が注目されています。SNSで拡散されることで企業の信用が失墜し、倒産に至るケースも少なくありません。防虫対策は異物混入防止の一環として、企業にとって欠かせないものとなっています。

具体例として、工場側のニーズは「虫の侵入を防ぐ」から「設備監査や清掃プロセスの改善」といった監査業務へシフトしています。こうした背景からも、PCO業務のDXが求められています。

篠田先生の防虫対策

3. PCO施工会社のWEBマーケティングの課題

多くの施工会社では、WEBマーケティングがほとんど手つかずの状態です。その結果、次のような現状が見受けられます。

  • インターネット仲介業者に30%もの手数料を支払い、業務を下請けに回している
  • 不当な価格競争が起き、顧客・施工会社双方に不利益が発生
  • 業界全体が疲弊している

一方で、WEBマーケティングは顧客との信頼関係を築くために非常に効果的なツールです。確かに初期投資や運用にコストがかかりますが、その分リターンも大きいと言えます。今後、ITの導入によって新規事業(ここではWEBマーケティング)に時間や労力を割くことができる環境づくりが必須となってきます。
逆説的にいえば、この領域にリソースを割ける企業が今後大きく成長していくとも言えます。したがって、業務のIT・DXによる効率化は未来への先行投資です。

4. 同定AIの存在はPCOを脅かすのか?



近年、各社が「同定AI」の開発に取り組んでおり、業界内でも注目を集めています。しかし、その一方で「同定精度が十分ではない」「AIがPCOの業務を奪うのではないか」という懸念の声も聞かれます。

しかしながら、同定AIにとどまらず、IT・DXによる業務の効率化は時代の流れからもはや避けられないと言えるでしょう。
その理由を、日本市場と世界市場のデータから考察してみましょう。


日本と世界のPCO市場の現状と成長予測

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3565


日本のPCO市場は2030年までほぼ横ばいの成長が予測されています(出典:株式会社矢野経済研究所)。成長が停滞する主な理由として、不当な価格競争やIT導入の遅れが挙げられています。

一方で、Spherical Insights LLPの調査によれば、世界のPCO市場は10年間で3兆510億円から5兆1,840億円規模へ成長する見込みです。

出典:Spherical Insights LLP



この差が生まれる背景を知るために、アメリカ市場の成長を見ていきます。


アメリカ市場に学ぶ成長のポイント

アメリカPCO業界の成長を紐解く一つの資料として、環境生物コンサルティング・ラボの技術士である平尾素一氏のレポート「米国PCOのトップ100社―20年の歴史を振り返る」が挙げられます。レポートによると、アメリカのPCO市場の成長を支えた主な要因は以下の通りです。

  1. M&A(合併と買収)の急増
    • 業界再編による規模の拡大と効率化。
  2. インターネットによる業務効率化
    • ITツールの活用で生産性を大幅に向上。
  3. 新製品の導入と技術評価の向上
    • プロの技術が消費者に高く評価され始めた。
  4. 害虫管理以外のサービスライン拡充
    • 多様なサービス提供で収益を拡大。
  5. シロアリの収入減をトコジラミがカバー
    • 新たな需要を取り込む柔軟性。

これらの要因が、アメリカ市場の持続的成長を牽引しています。

アメリカのPCO市場の成長を支えた主な要因

日本でも一部ではM&Aが進んでいますが、特に注目すべきは「2. インターネット活用による業務効率化」「3. 新製品・技術評価の向上」「4. サービスラインの拡充」といった取り組みです。これらは、多くの企業で今すぐ取り組める分野ではないでしょうか。

アメリカでは、PCO業務に特化した施工管理アプリが数多く開発・導入されています。

アメリカでPCOに特化した施工管理アプリがたくさんある

これは、以下の2点を裏付ける事実です。

  1. 施工管理アプリへの明確なニーズが存在する
  2. アプリの活用が企業の競争力向上に不可欠である

日本でも同様に、DX推進の第一歩として施工管理アプリの導入を進めることで、業務効率化だけでなく市場の成長を後押しすることが期待されます。


おわりに

同定AIやDXツールの導入は、PCO業界にとって脅威ではなくチャンスです。これらを積極的に取り入れ、業務の効率化や新たなサービス展開を行うことで、日本のPCO業界もさらなる成長が可能となるでしょう。

施工管理アプリPICOはアメリカの施工管理アプリも日々研究しています。日本とは法律的に異なる部分も多く、そのまま言語を変えれば使用できるというものでもありません。それでも、使い勝手やカスタマイズ性で非常に優れており、PICOにもそういった機能を反映させていくつもりです。

PCO業界は公衆衛生を支える基幹産業であり、チームPICOはそんな皆様の業務を少しでも効率化し、新たな脅威やニーズに対応できるよう、尽力しています。

まずはデモアカウント1ヶ月無料ですので、この機会にぜひお試しください!


長野県しろあり防除協会の皆様、大変素敵な時間をありがとうございました!
講習会および2次会の席で、皆様の仕事への真摯な姿や薬剤に対する熱い想いを聞くことができ、胸が熱くなりました。

(営業にあるまじき人見知りを発揮していましたので、2回目お呼びいただけるのでしたら、もうちょっと話せるようになるといいなと思っています。)